北海道開発土木研究所におけるスマトラ沖地震およびインド洋大津波に関する対応

最終更新 : 2006年3月28日

小規模水路への集水現象

今回の調査対象領域のうち,最大水深が5m以上に達するような津波の規模が大きかった地域では,地形形成学の観点において非常に興味深い次のような現象が見られた.津波来襲前に断面幅が1m程度の海岸に流出する小規模水路では,その来襲後にはその断面幅が30m以上にまで大幅に拡張されている箇所がいくつか見られた.しかも,この拡幅は河口から上流に向かって数100mにわたり発生していた.その一例がPhoto-3である.

このような水路幅の拡張は,地元民の証言によると,津波の溯上時に発生したものではなく,遡下時に周囲と比べて標高が若干低くいこのような小規模水路へ氾濫水が集水して水路幅の拡幅が生じたとのことであった.著者らは現在のところ,これを適当に説明するだけの知見を持ち得ていない.これらは小規模な地形起伏への流水の集中現象であり,今後はその発生機構の解明を試みたいと考えている.

Photo-3 Channel widened at the time of water retreat (The location is on the shore nearly 15 km north of Trincomalee City. The photo was taken looking upstream from the river mouth.)

Photo-3 Channel widened at the time of water retreat (The location is on the shore nearly 15 km north of Trincomalee City. The photo was taken looking upstream from the river mouth.)