Anaglyphと呼ばれる立体視の手法は1853年にドイツで開発されました。この画像は赤と青のセロハンを貼った眼鏡で見ることで画像が立体的に見ることができます。赤と青以外の色の組み合わせで立体視する方法もあるようです。ここではGEBCOと呼ばれる海洋や陸地を含む全世界の陸地や海洋を含む500m解像度のデータを用いて、地形を三次元的に見るためのAnaglyphを作る手法を紹介します。ANAGLYPHで地形のデータを眺めていると、陸地の凹凸に比べ海洋の下の地形は非常にダイナミックであることがわかります。海溝の深みに海山が引き込まれていくような姿も読み取れます。赤青眼鏡で見る立体的な地形は大人も釘づけになるほど不思議な魅力があります。
このAnaglyphを作るには事前にMIRONE(参考文献1)というソフトをインストールしておく必要があります。以下サイトでダウンロードできますが、Matlabという数学処理パッケージの有無を確認してMIRONEをインストールしてください。
MIRONEのWEBサイト http://w3.ualg.pt/~jluis/mirone/
1、 GEBCO(大洋水深総図)の30秒角データをBODC(British Oceanographic Data Centre)のサイトからダウンロードします。ここでは利用登録して目的を記入するなど、ダウンロードにあたっては若干の手続きが必要です。全データをダウンロードしようとすると、圧縮版でも1GBを超えます。
https://www.bodc.ac.uk/data/online_delivery/gebco/select/
当サイトではダウンロード範囲を指定してダウンロードすることもできます。
2、 GMTのGRDCUTコマンドで描画な範囲をトリミングします。ここでは日本から台湾までの範囲をカバーするので東経115度~150度、緯度15度~50度の範囲を指定し、GRDCUTでトリミングしています。GMTをインストールしていない場合は、データをダウンロードする際に範囲を指定しておけばよいでしょう。
SET orgfile=GEBCO_08.nc
SET grddata=japtai.nc
GRDCUT %orgfile% -R115/150/15/50 -G%grddata% -fg
3、 MIRONEでデータを読み込む
上記で作成したjaptai.ncはc:\mirone\などフォルダ名及び階層に日本語が入らないフォルダに格納しておきます。MIRONEを立ち上げ、FILE→OpenGridImage→GMTGrid→先程作成したjaptai.ncを選択すると、画面上に地形が表示されます。
4、 アナグリフの作成
地形が表示された画面の上枠に眼鏡マークが表示されているので、それをクリックし、しばらくすると画面上にアナグリフが表示されます。画像を保存するには、File→SaveImageAs→geoTiffでgeotiff形式で保存をお勧めします。このGeotiff形式をそのまま開くことも可能ですが、投影法の関係で上下に若干潰れた感じに表示されてしまいます。これを補正するにはGISソフトで読み込んだ後、投影法を修正することが可能です。GISが手元にない場合は、横方向の縮尺を無理やり変更するといった方法でも十分かもしれません。もしかするとMIRONEでも投影変換出力が可能かもしれません。また、画面上で指定したラインでの地形のプロファイルを作成することも可能です。様々な機能があるようですが、まだ使いこなせていません。
参考文献
1) J. F. Luis. Mirone: A multi-purpose tool for exploring grid data. Computers & Geosciences, 33, 31-41, 2007.
2011/4/21 寒地河川チーム 村上